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ジブリ映画と関係はある?戦前に書かれた小説「君たちはどう生きるか」を読んだまとめと感想

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マンドラゴラ
マンドラゴラ

ジブリ映画で同じタイトルの作品が公開されたけど、これが原作?

薫子
薫子

ジブリ映画の内容とは全然違うよ。

でも、映画の中で主人公が本書を読んでいるシーンはあったよ。

2023年7月14日に、ジブリ映画「君たちはどう生きるか」が公開されましたね。

宮崎駿監督の思い入れのある本のようですが、映画のストーリーとは全く違います。

しかし、映画の中で主人公が本書を読んでいるシーンもありましたし、その時の本の挿絵からどのシーンを読んでいるかもわかります。

そういう意味では、本書を読んでいたほうが映画が楽しめるかもしれませんね。

ちなみに漫画版もありますから、本だと読みきれない…という方はこちらから入ってみるのもおすすめです。

概要(時代背景)

本書は第2次世界大戦前の1937年に書かれました。

主人公は数え年で14歳、現在の12歳くらいでしょう。

母親が21歳、父親が25歳の時の子供と仮定すると、母親は1903年頃、父親は1899年頃の生まれと考えられます。

このころの時代は以下のように、戦争や震災で不安定な時代でした。

1894年~1985年 日清戦争

この間に本書の著者(1899年生まれ)および本書の主人公の両親(推察)が生まれる。

1904年~1905年 日露戦争

1914年~1918年 第1次世界大戦

1923年 関東大震災

このころに主人公が生まれる(推察)。

1929年 世界恐慌からの昭和恐慌

1931年 満州事変

1932年 五・一五事件

1933年 日本 国際連盟脱退、ドイツでヒトラーが首相に

1936年2月 二・二六事件

1936年11月 本書執筆開始

1937年7月 本書刊行、日中戦争開始

1938年 国家総動員法

1939年 第2次世界大戦 開戦

1945年 終戦

すでに言論の自由も厳しく弾圧されていた時代、戦争の時代に書かれた本と考えながら読むと、

小説を楽しむ以上の別の視点でも楽しめると思いました。

この本を読んで考えたこと

少年と青年の対話

本書は中学1年生の主人公と、その少年の指南役としてのおじさんがいる小説でした。

少年が自らの頭で考えたことをおじさんに話し、おじさんに褒めてもらったり、さらに深い洞察を教えてもらう、というところが多いと思います。

おそらくこのおじさんは、著者である吉野さんと同じくらいの年代なのではないでしょうか?

そして、主人公の少年と同年代の読者の子供たちに伝えたいことを書いているのだと感じました。

きっと、吉野さんが心から伝えたいことを、どうやったら伝わるか、必死に考えた形が本書なのでしょう。

それだけ魂のこもった作品だからこそ、時代を超えて人に訴える力があるのだと考えました。

少年同士の友情

本書では4人の少年たちの友情も描かれています。

その4人の少年たちは、経済的に恵まれた家の子供もいれば、家業の手伝いのために学校に来られない日があるような貧乏な家の子供もいます。

ですが、そういう家の事情を気にし始めるのは大きくなってからではないでしょうか?

家の環境等に関わらず、その人の人間性を見るために、子供たちが主役なのかもしれません。

実際、人間力に関しては、比較的恵まれた主人公よりも、貧乏な子の方が立派だ、と思えるシーンもありました。

しかし「自分が卑怯者だ」という罪悪感を感じ、そんな自分を認めて苦しみながらも正しい行動をしようと努力する主人公と、

「人は強くない」ということを理解し、ありのままの主人公を受け入れてくれる友人たちの友情は素晴らしいと感じました。

このエピソードが書かれた6,7,8章が、私の心には最も強く印象に残りました。

もしかしたら、著者が一番訴えたかった箇所なのかもしれませんね。

かつ子さんの役割

本書の中には、戦うことを肯定しているような、勇ましい女性のかつ子さんが出てきます。

負けることがわかっていても戦ったナポレオンを称賛するような女性です。

ナポレオンをどうとらえるか、という点も著者の吉野さんが書きたかったことかもしれません。

しかし、当時の時代を考えると、かつ子さんのような発言をする女性が登場するからこそ、本書を刊行することができたのかな?とも思います。

それでも、ナポレオンを手放しで称賛するような価値観になってほしくないと思い、5章を書いたような気がしました。

まとめ

今回はジブリ映画のタイトルのもととなった小説「君たちはどう生きるか」を紹介しました。

本書は第2次世界大戦前の、自由な発言が弾圧され始めていた時に書かれた作品です。

道徳的な面も強い小説ですが、時代背景や、著者の思いを考えながら読むと、より一層楽しめる作品だと思いました。

ジブリ映画でも少しだけ登場してきますから、映画の主人公の気持ちを深く知りたい人は、ぜひ一度読んでみてくださいね。

おまけ:こちらもオススメ

漫画版の「君たちはどう生きるか」

漫画のみで書かれているわけではなく、主要エピソードの漫画化と一部の文章の抜き出し、という形で書かれた本です。

こちらの漫画も、小説の内容を理解するには十分だと思いました。

しかし、個人的には文庫版の「作品について」や「回想」という、最後おまけ部分面白かったので、ぜひ文庫版も合わせて読んでほしいと思います。

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