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日本で生きているのに生きづらさを感じるんだけど…
空気とか読めないし…。
それなら外資系の企業に転職することを考えてみたら?
その生きづらさが解決するかもよ。
最近は「大人の発達障害」というキーワードが流行り、「空気が読めない=発達障害」みたいな風潮を感じるときがあります。
もし会社で「空気を読め」と言われて、よくわからなくて苦しんでいるのであれば、その悩みは外資系の企業に転職することで解消されるかもしれません。
また、若手は大きな仕事を任されない、女性の昇進が遅い、という場合も、やっぱり転職で解決できるかもしれません。
とはいえ、一口に「外資系」と言っても色々な企業がありますから、イメージと違う場合もあるでしょう。
外資系への転職を考えている人は、まずは本書で「外資系企業」について学んでみてはいかがでしょうか?
概要
本書は2019年に青春出版社さんから刊行された本です。
著者は外資系での人事採用経験があり、25年間のうちに1万人以上の採用面接を行っています。
加えて、著者自身も転職経験が多々あり、転職によって成功した経験もあれば、失敗した経験もあります。
それらの経験から、一般の転職本としての内容も書かれつつ、外資系企業に特化した情報も書かれていますよ。
一口に「外資系」と言っても、外資系らしい外資系企業から、日本企業らしい外資系企業まで様々です。
「外資系」らしい外資系企業の見分け方などは勉強になりました。
本書を読んで考えたこと
外資系のイメージと実態
あなたは「外資系企業」にはどんなイメージがありますか?
給料が高い、年功序列がない、カジュアル、フランク、いきなり解雇される、などでしょうか?
一つ一つ、見ていきましょう。
給料が高い?
外資系企業では「日本企業で求められるスキル+英語力」という2つのスキルが必要となります。
求められるスキルが増えるため、年収も上がると考えられます。
また、本書では言及がありませんでしたが、退職金がない企業は年収が高くなりやすいはずです。
退職金がある企業は、月々の給料から退職金分を引いて、退職時に大きく渡す、という形なのでしょう。
現在の税金の仕組みでは、退職金でもらった方が、月々の給料でもらうよりもお得なので、終身雇用制度の間はいい仕組みだったのですね。
しかし、終身雇用が保証されなくなってきている現代では、退職金がなくても月の給料が高い会社を選ぶのも1つの手かもしれません。
退職金にかかる税金の見直しもされるようですしね。
年功序列がない?
外資系は実力主義なので、基本的には実力があれば昇進できます。
ただし、日本企業と違い、人事権を各部署の上司が握っています。
そのため、上司に好かれなければ昇格できません。
そういう点では、上司との人間関係をうまくやれて、かつ成果も出せる人が出世できるのでしょう。
最近では若手を昇進させる日本企業も増えてきたように感じますし、この特徴は外資系でなくても見つかるかもしれません。
人事部が人事権を握っていることの多い日本と、直属の上司が人事権を握っていることの多い外資系、
どちらがあなたを評価してくれそうですか?
カジュアル・フランク?
これは業種によりますし、やっぱり日本国内、という影響は受けていそうです。
お客様の信頼を得ることが重要な職種では高級なスーツやジャケットを着られているようですし、
事務作業、現場作業だけであっても毎日ジーパン、は厳しいようです。
ジーパン、Tシャツ姿で仕事をしたい場合、海外に行くしか手はないかもしれません。
いきなり解雇される?
日本では「いきなり解雇される」ということはほとんどないでしょう。
厚生労働省の「労働契約の終了に関するルール」に、下記のように定められているからです。
解雇は、使用者がいつでも自由に行えるというものではなく、解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、労働者をやめさせることはできません(労働契約法第16条)。
労働契約の終了に関するルール|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
(中略)
合理的な理由があっても、解雇を行う際には少なくとも30日前に解雇の予告をする必要があります。
人員整理や契約期間満了の場合等はまた条件が変わりますが、いきなり解雇されるということは不当解雇の可能性があります。
そのような目にあった場合は弁護士に相談に行きましょう。
また仕事ができない場合も、「業績改善プログラム」などで改善できるようにフォローしてもらえることがほとんどのようです。
簡単にクビにされるから…という懸念は、日本国内においてはどの企業もそう変わらないのかもしれません。
外資系らしい外資系の見分け方
社長の経歴
外資系らしい外資系企業では、社長は日本生まれ、日本育ちではないでしょう。
つまり、外国人の社長であれば外資系らしい外資系企業になりやすいと考えられますが、それだけでなく、
日本人社長であっても、海外で生まれ育ち、海外の考え方を持っている人であれば、外資系らしい企業になると思われます。
その会社の社長の、無意識下に存在している文化はどこの文化なのか、それが会社の文化に影響しそうですね。
外国人社員の比率
外資系らしい外資系企業では、やっぱり日本国外で育った人の比率が高いと思われます。
仮に社長が1人だけ外国育ちで、他の人が全員日本文化で育った人たちであれば、いくら社長といえどもなかなか意見を通すのは難しいでしょう。
外資系企業であっても、部署には日本人しかいなければ、日本の文化で働いている、という可能性もあります。
本書では、700人以下の会社では、企業文化に影響を与える外国人比率として社長・役員がほとんどと、その下の階層の10%以上がいれば十分、という内容のことが書かれています。
外資系らしい外資系企業への転職を希望するのであれば、社員の外国人比率にも目を向けてくださいね。
会社の規模
外資系らしい外資系企業である場合、社員数が700人以下が望ましいようです。
社員数が多くなっても、大半が帰国子女などであれば、外資系らしさは残るようですが、日本育ちの日本人が多くなれば外資系らしさは失われるそうです。
本書では書かれていませんが、組織内の少数派の割合が3割以上となると、文化が変わり始めるようです。
これはハーバード大学社会学者のモザベス・モス・カンターによって提唱された「黄金の3割」という理論です。
つまり、700人以上の従業員がいる会社でも、3割以上の外国人がいれば外資系らしい企業、と考えられそうですね。
外資系に向いている人
ここまで、外資系企業の特徴、見分け方を述べてきました。
次は外資系企業に向いている人を見てみましょう。
ドライな人間関係を好む人
あなたの会社は飲み会はどれくらいありましたか?
コロナ禍で減ってきたとは思いますが、月1回以上や、場合によっては毎週のようにあった方もいるのではないでしょうか?
外資系らしい外資系企業では、イベントなどで飲み会を開くこともありますが、基本的には少ないでしょう。
仕事は仕事、プライベートはプライベート、と切り離して考えるようですね。
会社以外にも友達が多くて、プライベートは会社の人以外と過ごしたい、という人には向いていそうです。
逆に、友達が少なくて、休日は会社の人たちとばっかり遊んでいるという人では、孤独を感じやすい環境かもしれません。
空気が読めない人
空気が読めない、と悩むのであれば、外資系らしい外資系企業では生きやすいかもしれません。
有名な文化の概念の一つに「ハイコンテクスト文化」と「ローコンテクスト文化」があります。
ハイコンテクスト文化では「暗黙のルール」があり、「言わなくても察する」能力が求められます。
逆にローコンテクスト文化では、指示は明確にされます。
日本はハイコンテクスト文化と言われます。思いやり、などがいい例でしょう。
相手が何も言わなくても、相手の事を考えて適切な行動をとるわけですから。
本書では次のような事例が紹介されていました。
居酒屋で(中略)カウンターにいるシェフが「トマトがなくなった」というと、奥からトマトを持ったスタッフが出てきたのです。(中略)察する、おもんぱかるという習慣がない国から来ている人には、非常に難しいコミュニケーションです。
鈴木美加子, やっぱり外資系!がいい人の転職AtoZ, 青春出版社, 2019, 157
一般に「空気が読めない人」というのは、このようなスタッフの行動ができない人のことでしょう。
しかし、このような行動が要求されるのは日本文化の特徴であり、海外ではこのようなことはありません。
この場合であれば「トマトを持ってきてほしい」とはっきり言わないといけないのですね。
外資系らしい外資系企業はローコンテクスト文化となるはずですので、空気が読めない、と怒られる可能性は低いでしょう。
ただし、今までは他人が気を使ってやってくれていたことも、はっきりと言語化して依頼しなければやってもらえませんが。
自分で行動する人
外資系企業では終身雇用制がないと考えたほうが適切でしょう。
その場合、常に一定以上の成果を出し続けることが求められます。
すなわち、常に成長し続けなければいけないのですね。
外資系で活躍している人の共通点の一つに「自立心が高い」ことがあるそうです。
わからないことは自ら調べ、やりたい仕事は自分で上司に提案し、自分のキャリアプランを自分で描いて行動する。
日本企業では上司が教えてくれたり、上司から言われた仕事をしたり、会社の人事制度に則って昇格していくので、大きく違いますね。
ですから、今の会社で苦しみ、会社で働くのが向いていない、と感じる人でも、環境を変えたら気持ちよく働ける可能性もありますよ。
バリバリ働きたい女性
先ほども述べましたが、文化が変わるためには少数派が3割以上必要です。
現在の日本企業の社長、取締役会の人数比で、女性が3割以上となっているところは非常に少ないでしょう。
女性が一人もいない、というところすらたくさんあります。
その一方で、外資系企業では女性の比率が3割以上となっているところがたくさんあります。
取締役会までではなくても、指導的立場にいる女性が3割以上いる、というところも多いでしょう。
上の立場にいる女性が多い外資系の環境の方が、女性は昇進しやすいでしょうね。
外資系の転職の特徴
基本的には一般的な転職活動と同じ流れかな、と思いました。
英語力も、求められるレベルは会社や業種によって違うようですから、英語力に関わらず検討してみるのはいいかもしれません。
しかし、著者は外資系転職では英文履歴書の作成が必須、絶対に必要、とおっしゃっています。
わたしもそんなにたくさんの転職本を読んだわけではありませんが、英文履歴書の書き方を載せている本は珍しいのではないでしょうか?
1万人の採用に携わった方だけあって、採用者が注目するところ・しないところにも言及があります。
本気で外資系に転職を望むのであれば、この英文履歴書の書き方の章は読んでおくといいでしょうね。
まとめ
以上から、本書から学んだことをまとめると次のようになります。
・外資系企業でも、外資系らしい外資系企業と日本企業らしい外資系企業がある
・外資系企業に転職して大きく活躍できる可能性のある人は、自立心がある若手や女性(※年功序列の会社に勤める男性は、それなりに活躍していると思われるため)
・日本企業の文化になじめない人でも働きやすいかも
今の職場の環境が苦しいのであれば、文化が大きく違う外資系企業に転職してみるのもありかもしれません。
ぜひ検討してみてくださいね。
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