最近『FIRE (経済的に自立&早期退職)』という言葉を聞きませんか?
FIREには色々な種類がありますし、人によって合う合わないがあると思います。
今回は、そんなFIREの種類をまとめて紹介しますね。
なお、まだ出てきたばかりの言葉ですから、人によって定義が多少異なったり、新しいFIREのスタイルが出てくるかもしれません。
その点はご了承いただければと思います。
それでは、FIREの種類について見ていきましょう!
FIREの種類と難易度
FIREの種類として、私は5つあると思っています。
その5つとは「Fat FIRE」、「Lean FIRE」、「Coast FIRE」、「Side FIRE」、「Barista FIRE」です。
この中で一番大変なのは「Fat FIRE」、楽なのは「Barista FIRE」か「Coast FIRE」かな、と思います。
一つ一つ、どのようなものなのか、どれくらいの資産が必要なのか、を説明していきます。
Fat FIRE(ファット・ファイア)
どういうもの?
これは「資産の運用益や配当金のみで裕福な生活を送る」ことです。
この「裕福な」は人に寄りますので、あなたにとっていくら必要かはあなたが判断してくださいね。
また「資産の運用益や配当金」も人によって異なります。
どれだけ貯めたらFat FIREできるかは次の割り算で求めらます。
(1年間で使う金額)/ (ポートフォリオの利回り)=(必要な資産)
いくら必要?(試算してみよう)
仮に1年間で使う金額が1000万の場合、どれくらいの資産が必要か見ていきましょうか。
日本国債の場合
個人向け国債は元本割れの可能性がほとんどない安全資産です。
債券なので、発行元が潰れれば紙切れになりますが…国債の場合は発行元が日本政府なので、あまり考える必要はないでしょう。
2024年2月に募集がされてる変動10年ものの利率は、税引き後で約0.39%です。
現在の銀行金利は(※銀行にもよりますが)0.001%ですから、預金に比べたらだいぶいい利率でしょう。
先ほどの式で計算すると
1000万円 / 0.39% = 約25億
この資産額は超富裕層(資産5億円以上の階級)と呼ばれ、日本国内では全体の0.17%程度です。
日本国債でFat FIREを目指すのは現実的ではありませんね…。
投資信託(S&P 500)の場合
長期間投資すれば、S&P500は5〜10%程度のリターンが見込める投資商品でしょう。
もちろんリスクもあり、〇〇ショックみたいなものが起きれば資産が半減することもありますから、気をつけてくださいね。
今回は税引き後の利率を5%として計算してみましょう。
1000万 / 5% = 2億
これは富裕層(資産1億円以上〜5億円未満)と呼ばれ、全体の2.6%程度の人しかなれません。
日本国債よりかは実現性が高そうですが…なかなか難しそうですね。
なお、投資信託の場合は自分で取り崩す必要があります。
資産が増えている時も多く使ってはいけませんし、減っている時も狼狽えてはいけません。
そういう意味で、自己管理力が必要な投資手法になりますね。
日本株の高配当株投資の場合
配当金の場合、入ってきたお金分だけ使えばいい、という点で楽でしょう。
その一方で、どの株を選ぶか、によってリターンやリスクが大きく異なります。
今回は税引き後の利率を3%として計算してみましょう。
「NF・日経高配当50 ETF」というものが2024/02/05時点で税引き前利率3.33%のようですからね。
式に当てはめてみると
1000万 / 3% = 約3.3億
これはS&P500で試算したとき同様、富裕層(資産1億円以上〜5億円未満)と呼ばれる人たちで、全体の2.6%程度です。
3.3億円は、簡単には貯められない金額ですね。
この章のまとめ
年1000万円を、資産の運用益や配当金などで賄う、というのは一般的な人にとっては大変そうですね。
私の意見としては、他の種類のFIREを目指すことをオススメします。
Lean FIRE(リーン・ファイア)
どういうもの?
こちらは「資産の運用益や配当金のみで最低限の生活を送る」ことです。
今すぐにでも会社を辞めたい人などは、これを目標にするといいかもしれませんね。
ここでも「最低限の生活」にかかるお金、資産運用で得られるお金が人によって変わります。
あなたにあった金額を次の式に入れて、必要金額を求めてくださいね。
(1年間で使う金額)/ (ポートフォリオの利回り)=(必要な資産)
いくら必要?(試算してみよう)
仮に年間で使う金額が200万円の場合、どれくらいの資産が必要か見ていきましょう。
日本国債の場合
Fat FIREの計算時と同様に、年利率は税引き後で0.39%としましょう。
この場合に必要な資産は、式に当てはめて次のようになります。
200万 / 0.39% = 約5.1億
Fat FIRE時に必要な資産と比べればだいぶ下がりましたが、やはり準備するのが大変な金額ですね。
投資信託(S&P 500)の場合
Fat FIREの計算時と同様に、年利率は税引き後で5%としましょう。
200万 / 5% = 4000万
これはアッパーマス層(資産3000万円以上5000万円未満)と呼ばれ、全体の13%程度の人たちです。
アッパーマス層以上の人の割合を考えると、日本人全体の22%程度となります。
5人に1人は到達できると考えれば、他のものよりも現実感はあるのではないでしょうか。
なお、Fat FIREの項目でも書きましたが、投資信託の場合は自分で取り崩す必要があります。
資産が増えている時も多く使ってはいけませんし、減っている時も狼狽えてはいけません。
そういう意味で、自己管理力が必要な投資手法になりますね。
日本株の高配当株投資の場合
Fat FIREの計算時と同様に、年利率は税引き後で3%としましょう。
この場合に必要な資産金額は次のようになります。
200万 / 3% = 約6600万
これは準富裕層(資産5000万円以上1億円未満)と呼ばれ、全体の6%程度の人たちです。
資産5000万円以上の準富裕層、富裕層、超富裕層は合計でも全体の10%に満たないレベルです。
「10人に1人」という割合を、「いけそう!」と感じるか「無理…」と感じるかはあなた次第でしょう。
なお、Fat FIREの項目でも書きましたが、配当金の場合入ってきたお金分だけ使えばいいので管理は楽ですが、最初の株の選択は難しいですね。
この章のまとめ
これはFat FIREよりは実現可能そうなFIRE手法ですね。
支出を減らして、最低限の生活にかかるお金を減らせれば、今回の試算してみたほどの資金も必要ないでしょう。
どんな貧乏生活になったとしても、働きたくない人に向いているFIRE手法ですね。
Coast FIRE(コースト・ファイア)
どういうもの?
「将来に必要な金額を先に貯め、その後は稼いだ金額をすべて使える」という形のFIREです。
この場合いつ、いくら必要か、をはっきり把握する必要があります。
何年後にいくら必要かを把握したら「現価係数」というものを使って計算するか、一括投資のシミュレーションで計算してみましょう。
なお、いつ、いくら必要かを把握するため、「現価係数」とは何かを知るためにはファイナンシャルプランナー3級を学ぶとより深く知ることができるでしょう。
余裕があれば学ぶことをオススメしますよ。
必要な金額は、運用を考えると、次の式で求めることができます。
現在の金額(元本)=将来の金額(目標額)×現価係数
現価係数はネットで調べることもできますし、計算で求めることもできます。
現価係数 = 1/ (1+年利率)^(年数)
※分母は(1+年利率)を年数で乗じたものです。
いくら必要?(試算してみよう)
今回は将来に必要なお金として、老後資金を考えてみます。
20年後に2000万あれば大丈夫、と考えてみましょう。
日本国債の場合
Fat FIREの計算時と同様に、年利率は税引き後で0.39%としましょう。
この時の現価係数は約0.9251です。
この場合、貯めておくべき金額は
2000万円 x 0.9251 = 約1850万円
となります。
これだけ貯めたら老後の心配なく今を生きられる、ということですね。
年利率が低いので、2000万円近く貯めないといけないことは変わりませんね。
投資信託(S&P 500)の場合
Fat FIREの計算時と同様に、年利率は税引き後で5%としましょう。
この時の現価係数は約0.3769です。
この場合、貯めておくべき金額は
2000万円 x 0.3769 = 約750万円
となります。
貯めるべき金額は半額以下になりました。
ただし、投資信託にはリスクもあり、元本割れの可能性もあります。
確実にこれだけ貯まる、というわけではありませんので、ご注意ください。
日本株の高配当株投資の場合
Fat FIREの計算時と同様に、年利率は税引き後で3%としましょう。
この時の現価係数は約0.5537です。
この場合、貯めておくべき金額は
2000万円 x 0.5537 = 約1100万円
となります。
貯めておくべき金額は半額くらいですね。
毎年配当金が入ってくると思いますが、それを使わずに、税引き後3%以上の配当金をくれる株を買い続けないといけませんから…
あまり楽な方法ではありませんね。
加えて、投資なので予想通りに増えない可能性もありますし、元本割れのリスクもありますから、ご注意ください。
この章のまとめ
投資をして複利の効果を使えば、老後資金の準備金はだいぶ少なくて済みそうですね。
とはいえ、これは途中で働けなくなるなどのリスクには対応できないFIREの形です。
完全にお金の不安がなくなる(経済的自立を達成できる)かは、個人的には疑問ですね。
Side FIRE(サイド・ファイア)
どういうもの?
「副業(自営業)での収入&資産の運用益・配当金で暮らす」という形のFIREです。
ここでいう副業や自営業は、あなたのやりたいことであり、お金のためにやっていることではありません。
似ているものに、次の章で紹介する「Barista FIRE」というものがあります。
2つの違いは、Side FIREは副業、自営業のため、失業保険がもらえなかったり、厚生年金に入れなかったり、福利厚生が下がる、とイメージしてください。
また、会社員は健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の半分を会社が払ってくれています。
厚生年金保険料は関係なくなるとしても、健康保険料や介護保険料分の支出が大きくなることは注意してください。
その一方で、会社員時代は使えなかった「経費」によって家賃や水道光熱費等の一部を賄えるようになると思いますから、節税は色々と出来そうですね。
税理士に相談したり、次のような本を読んでみたりして学んでみてください。
いくら必要?(試算してみよう)
今回は副業で月10万、資産運用益・配当金で月10万円として試算してみましょう。
すなわち、資産からの収入は年間120万円ですね。
必要な資産は次の式から求められます。
(資産からの収入)/ (ポートフォリオの利回り)=(必要な資産)
日本国債の場合
他のFIREの計算時と同様に、年利率は税引き後で0.39%としましょう。
120万円 / 0.39% = 約3.1億円
なかなか貯めるのが難しそうな金額ですね。
投資信託(S&P 500)の場合
他のFIREの計算時と同様に、年利率は税引き後で5%としましょう。
120万円 / 5% = 2400万円
だいぶ手が届きそうな金額だと思いませんか?
とはいえ、他の章でもお伝えしていますが、投資にはリスクがあり、元本割れの可能性や、予想通りに増えない可能性もあります。
さらに、資産が増えていても減っていても、あなた自身で取り崩していかないといけません。
自己管理力の求められる投資方法ですね。
日本株の高配当株投資の場合
他のFIREの計算時と同様に、年利率は税引き後で3%としましょう。
120万円 / 3% = 4000万円
年利率が下がった分、投資信託よりも準備する資金が多くなりましたね。
その一方で、配当金は振り込まれた金額は使っていい、という管理方法なので楽だと思います。
もちろん投資ですから、元本割れリスクや予定通りに配当金がもらえないリスクなども考慮してくださいね。
この章のまとめ
月々の生活費の一部を労働収入で賄う、と考えれば、FIREのために準備するべき金額は減りますね。
実際にFIREした人たちの多くは、自分が好きなことをして稼ぎ続けている人が多いです(記事末で紹介の記事より)。
その点では、現実味の高いFIRE手法かもしれません。
会社員時代とフリーランス(副業、自営業)では経費や税金の面で大きく変わりますので、そこは注意が必要ですね。
Barista FIRE(バリスタ・ファイア)
どういうもの?
「アルバイトなどでの収入&資産の運用益・配当金で暮らす」という形のFIREです。
もちろん、このアルバイトはあなたの好きな仕事を、楽しめる時間だけ、と考えてください。
とはいえ、アルバイトはいくつかの条件を満たせば社会保険や雇用保険に加入することができます。
また、ある程度のルールに縛られます。
ここがSide FIREとの違いであると考えています。
とはいえ、会社員からいきなり全ての時間が自由になると、何をしたらいいか悩んでしまう人もいるでしょう。
そういった人はBarista FIREをしながらやりたいことを見つけて、Side FIREしていく、というのも一つの手だと思います。
いくら必要?(試算してみよう)
今回はSide FIREと同様、アルバイトで月10万、資産運用益・配当金で月10万円として試算してみましょう。
全く同じ計算になりますので、Side FIREの章を読んでくださった方は全体のまとめまで飛んでください。
必要な資産は次の式で求められます。
(資産からの収入)/ (ポートフォリオの利回り)=(必要な資産)
日本国債の場合
他のFIREの計算時と同様に、年利率は税引き後で0.39%としましょう。
120万円 / 0.39% = 約3.1億円
投資信託(S&P 500)の場合
他のFIREの計算時と同様に、年利率は税引き後で5%としましょう。
120万円 / 5% = 2400万円
くどいようですが、投資のリスクや、あなた自身で取り崩す必要がある、という点にご注意ください。
日本株の高配当株投資の場合
他のFIREの計算時と同様に、年利率は税引き後で3%としましょう。
120万円 / 3% = 4000万円
くどいようですが、投資のリスクや、株の選び方が簡単ではない、という点にご注意ください。
この章のまとめ
比較的会社員と同じ気持ちで、準備資産も少なく、ストレスの少ない仕事ができるFIREの形です。
いきなり「毎日やることがない」という状態はつまらないかもしれませんし、ボケやすくなるかもしれません。
今の環境が嫌で疲弊してしまっているのであれば、まずはこの形のFIREを目指してもいいのかな、と思います。
全体のまとめ
FIREの種類と必要資産
では、今までの試算結果をまとめてみましょう。細かい条件等は各章の項目を確認してくださいね。
FIREの種類 | 資産からの年間収入 | 運用方法 (税引き後年利率)と必要金額 | ||
日本国債 (0.39%) | 投資信託 (5%) | 日本高配当株 (3%) | ||
Fat FIRE | 1000万 | 約25億 | 2億 | 約3.3億 |
Lean FIRE | 200万 | 約5.1億 | 4000万 | 約6600万 |
Coast FIRE | 0 (生活費分は稼ぐ) | 約1850万 | 750万 | 約1100万 |
Side FIRE | 120万 | 約3.1億 | 2400万 | 約4000万 |
Barista FIRE | 120万 | 約3.1億 | 2400万 | 約4000万 |
投資はリスクがありますが、やはり見込まれるリターンも大きいですね。
個人的にオススメのFIRE方法
私個人の意見としては、
会社員→Barista FIRE+副業→Side FIRE
が一番いいのではないか、と考えています。
会社員+副業→フリーランス→Side FIRE
という案もありますが、会社員をしながら副業をすると、家族や友人と過ごす時間が無くなってしまう可能性がありますからね。
FIREを目指す人は、おそらく「自由な時間」に魅かれるのかな、と思いましたので、自由な時間が取れそうな前者をオススメしました。
注意事項
日本国債の場合
今回は、一番年利率の高い「個人国債 変動10年」で考えました。
元本割れはほとんど考えなくていいものの、利率は半年ごとに見直されます。
買った当初は0.39%あった利率が、0.05%まで下がってしまう、ということもあり得ます。
年利率が変われば試算結果も変わりますので、年利率には注意してください。
投資信託の場合
リスクがあり、元本割れの可能もあります。
ですから、試算通りにいかないことのほうがほとんどでしょう。
プラスに転じるかマイナスに転じるかは運次第ですね。
また、取り崩す時には、資産が増えていても減っていても平常心でやる自己管理力が必要となります。
ただし、購入時に「再投資型」を選べば、最初に購入したらあとは放っておけばいい、という点で簡単な投資方法ですね。
日本株の高配当株投資の場合
投資信託同様、リスクがあり元本割れの危険性もあります。
1つの企業にだけ投資していると、その企業が潰れた場合などに、株が紙切れになってしまいます。
ですから、あなた自身でいくつもの企業に分散投資しているポートフォリオを作成する必要がありますね。
また、配当金は減配や無配になる可能性もあります。
複利の力で増やしたいのであれば、配当金をあなた自身で再投資する必要があります。
ポートフォリオが完成してしまえば楽な投資方法かと思いますが、完成させる前が大変ですよ。
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実際にFIREした人たちの声
あなたは実際にFIREした人たちに会ったことがありますか?
私はありません。
ですから、FIRE後の生活や、FIREに踏み切るときに不安がなかったのか、など色々と疑問に思うことがあります。
その疑問に答えてくれるのが、こちらの記事で紹介した本です。
FIREした20人の体験談をまとめてくれていますので、疑問に思っていることへの回答や、あなたが目指しやすいFIRE像が見つかるかもしれませんよ。
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