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これ、30年くらい前の東野圭吾さんの作品だよね?
今でも面白いの?
「本格推理小説もどき」なんだけど、時代を感じさせない密室トリックなんだ。
今読んでも面白いよ!
東野圭吾さんといえば、すでにミステリー界では大御所の方ですよね。
映像化作品も多く、本を読まない方でもお名前くらいは知っている方が多いのではないでしょうか。
私は東野圭吾さんの作品は、安定して面白いので定期的につい読んでしまいます。
今回読んだのは「ある閉ざされた雪の山荘で」という本。
大きなネタバレをしないように注意しつつ、それでも面白かった部分をお伝えしていきますね。
本の概要
本書は1992年に書かれた作品です。
東野圭吾さんは1985年に作家としてデビューされていますから、デビュー後10年ほど経った頃の作品ですね。
刊行当時のカバーには、著者の以下のような言葉が書かれていたそうです。
本格推理もどき、つまり本格推理小説のイミテーションを目指した。本物とは一味違うところがミソなのだ。(以下略)
本格推理小説好きの人も、そうでない人も楽しめると思います。
面白かった点
密室の作り方
本作での密室は物理的に作られているわけではありません。
登場人物たちの心理的なものから、ただの山小屋が密室となってしまうのです。
本格推理小説では、テクノロジーの進化により「今ではこの密室はできないな」というものもありますよね。
しかし、この心理的に密室を作る方法であれば、現代でも通用します!
読み始めたときは発刊時を知らなかったため、携帯電話が出てこないことに違和感は感じましたが、携帯電話の有無によらず成立するストーリーなので、大きな違和感なく読めました!
登場人物の属性
推理小説を読んでいると「犯人の演技うまくないか?」と思ったことはありませんか?
犯人は演技も何も知らない素人ですからね。
あなたも、何か他人を騙そうとしたときに、疑われた状態で1日以上だますことはできますか?
著者もそういう考えを持ったのか、本作の登場人物は皆「劇団員」です。
しかもオーディションに合格するような演技のうまい方々です。
犯人の演技が上手いのも納得ですよね。
著者の意見を語る登場人物
本を読んでいて面白いのが、随所に著者の意見と思われるものが記述されていることです。
本書ではp.143,144において、ノックスの10戒や他の推理小説家の作品に言及するような発言がありました。
例えば以下のような部分です。
個性も魅力もないのに、名探偵という冠だけ与えてあるケースが。描写力がないので、この男は頭脳明晰、博学多才、行動力抜群なんて地の文で書いてあったりする。
東野圭吾.ある閉ざされた雪の山荘で.講談社文庫, 1996, p.144
もしその作者の作品を知っていたら「ああ、あるある(笑)」となって楽しめる文章でしょう。
知っていれば楽しめるネタが盛り込まれている点も、東野圭吾さんの作品の面白いところでしょう。
まとめ
本作は1992年に書かれた、すなわち30年ほど前の作品です。
それにも関わらず、現代でもこの密室は成立すると思われ、古さを感じさせません。
トリックも読み切れず、感動しました。
決まり事や他者への皮肉が込められている点も、個人的には好きな点ですね。
「本格ミステリもどき」の本作品、ぜひ読んでみてください!
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