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昔の名作って、今読んでも面白いの?
人の心理は変わらないから、やっぱり面白いよ。
当時の人がどんな生活をしていたかとか、歴史に興味を持つきっかけにもなるよ。
初めて松本清張さんの作品を読みました。
実際の時刻表を使ったトリックというのがまた面白く、当時であれば時刻表を買って調べてみたいものですね。
また1957年(昭和32年)の頃の生活がどのようなものだったのか、というのを知ることができるいい機会にもなりました。
こうした小説から歴史に興味をもって学んでいくと、歴史の勉強もしやすいかもしれませんね。
今回は映画化やドラマ化もしたことがある松本清張さんの「点と線」を読んだ感想を、ネタバレなしで語っていきたいと思います。
本の概要
本書は1957年を舞台とした長編推理小説です。
ただし探偵は出てきません。警察が事件を捜査しますよ。
ジャンルとしては時刻表トリックです。
実際の時刻表を使って書かれている小説ですから、当時はとてもリアリティがあったでしょう。
事前に1957年(昭和32年)の頃の人々の生活を知っていると、より面白いかもしれません。
本を読んで思ったこと
冤罪が起きた理由はこれ?
警察の捜査では、残念ながら冤罪となってしまうものがあります。
決して警察を悪く言いたいわけではありませんよ、こちらの漫画が示すように業務が多岐にわたり、非常に難しい職業ですからね。
本書を読むと、警察の推理の流れとしては「仮定→証拠集め→判断」となっていると考えられます。
実験と同じですね、ある仮定を立てて、それが成り立つかを調べます。
成り立たなかったら仮定が間違っていて、成り立つなら仮定が正しかった、ということでしょう。
このとき、仮定に固執しすぎると「確証バイアス(自分が求める結果だけ目に入ってしまう)」などによって冷静な判断が下せなくなる可能性があります。
本書でもそのようなバイアスを感じる記述がありましたが、ネタバレになってしまう可能性があるため引用は控えますね。
加えて、人の記憶とは曖昧なもので、「やってもいないことを思い出す」こともあるとこちらの本に書かれていました。
逮捕者の中には取り調べ中に変な記憶が「思い出され」、それがたまたま当たっていたから有罪、となった人もいるかもしれません。
推理小説のようにいかない警察のお仕事、尽力してくださる警察官に感謝の念に堪えません。
今とは違う電報
本書では遠方の人たちとやり取りをするのに電報を使っています。
当時はまだ電話機は普及しておらず、電話でやり取りをすることが非常に難しかったのでしょう。
実際「KDDIトビラ」というHPを参照すると、1951年にようやく一般の人向けの公衆電話がおかれ始めたばかりでした。
そして1968年にようやく電話ボックス用の青電話が出てきた、という時代なんですね。
今でこそ電報は結婚式などのときに使うイメージですが、当時は電話代わりにモールス信号などで文字情報だけ相手へ送る、という手法だったそうです。
人が実際に移動するより早いですが、なかなか時間のかかる通信手段ですね。
60年で変わる世界
前述の電報もですが、この当時は新幹線もありません。新幹線の開業は1964年です。
今では5時間程度で東京ー博多を移動できますが、当時は急行で20時間越えでした。
この記事を書いているのが2023年ですから、1957年は66年前となります。
66年後には手元に電話機があって、誰とでもすぐに連絡が取れる、
東京ー九州を日帰りで旅行することもできるなんて、一体だれが想像したでしょうね?
そう考えると、あなたの老後はあなたの想像以上に不思議な世界が待っているかもしれません。
時代の進化にわくわくしませんか?
第2の人生としての作家業
著者は1909年に生まれ、1956年に朝日新聞社広告部を退社して作家業に専念されているそうです。
つまり、作家となったのは47歳ごろで、デビューのきっかけは3年前の1953年にある作品で芥川賞を受賞されたことからでしょう。
ちなみに、当時の定年は55歳ですから(1986年から60歳定年が努力義務、1998年施行の法律で60歳定年が義務化されました)、著者は第2の人生を作家にした、というところでしょうか。
今でこそ「人生100年時代」や「定年後の生活」が話題になりますが、それは今に始まったことではないのかもしれませんね。
ただし、作家業も楽な生活ではありません。実際の作家がどのような生活かは、こちらの記事で書いていますので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
実際の時刻表をもとにストーリーが練られている、という点が非常に面白い作品でした。
当時の生活がどのようなものか想像ができていないと、登場人物たちの行動に「?」となるかもしれません。
その際は、せっかくですから新しい知識を得るチャンスだと考えて、調べてみてはいかがでしょうか?
時代の進化を実感でき、未来の技術にわくわくしてくると思いますよ。
参考文献
本記事で参考にした本を紹介します。
人の記憶はあてにならない
事件調査では、本人や周囲の人の供述をもとに捜査を進めるでしょう。
しかし本人や周囲の人の記憶というのは、案外頼りないものです。
本書でも自分がやっていないことを「思い出す」人々の話が書かれていました。
本当にあなたの「考え」や「記憶」はあなたの「意志」や「事実」なのでしょうか?
本書を読んで検討してみるのも面白いと思いますよ。
作家業も楽ではない
「夢の印税生活」など聞くように、作家とは楽な仕事だと思っている人はいませんか?
しかし実際は5年後の生存率が非常に低く、とても厳しい世界です。
本書では作家として生計を立てている3名の作家さん(中山七里さん、知念実希人さん、葉真中顕さん)にお話しを伺いました。
気になる印税の話、編集者さんとの関係などにも触れられていますから、
作家を目指す方はぜひ一度読んでみることをオススメします。
警察官も楽じゃない、リアルな警察漫画
元警察官が描く、リアルな警察コメディです。
警察官が感じる理不尽な社会の状況なども書かれていますし、男性職場で働く女性の苦しさも書かれていますよ。
警察官ってどんな人たちなんだろう?と思ったときに気軽に読める作品です。
笑いをこらえるのが大変なので、電車内では読まないことをオススメします。
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