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「子育てはできて当たり前」「みんなできている」と思われますが、実際には多くの人が苦しんでいます。
例えば、こちらの記事で紹介した「#赤ちゃん相談室」では、簡単ではない子育ての苦しみを笑い飛ばそうと頑張っているエピソードがたくさんありますよ。
さて、その苦しみはなぜ起きるのでしょうか?はっきりと一つだけ言えることがあります。
子育ての苦しみはあなたのせいではありません!
人間が進化の過程でしてきた子育てと、今の子育ての形が変わってしまったのが原因です。
もし自分を責めてしまっている人がいれば、あなたのせいではないので、安心してください。
本の概要
本書は2016年にポプラ社さんから発行されました。
著者はNHKスペシャル取材班で、もともとNHKスペシャルで取り上げられていた内容をもとに書かれています。
この企画が生まれたきっかけは、執筆者(番組ディレクター)の一人である小林欧子(こばやし おうこ)さんが出産・子育てを経験したことからです。
小林さんは動物の子育てにも詳しかったのですが、動物の子育てはこんなに大変ではないんですよね。
どうして人間だけがこんなに苦しい思いをするのか、科学の視点から解き明かしてくれる本です。
この本から学んだこと
辛いのはあなただけではありません!
9割のママは育児で苦しんでいる
もし今子育てに苦しんでいるのであれば、はっきりと知ってください。
子育ての苦しみはあなたのせいではありません!
そして苦しんでいるのはあなただけではありません!
もちろん、「あなただけではないのだから、頑張りなさい」なんていうつもりも毛頭ありません。
みんな苦しんでいるのだから、原因を探して楽に子育てしましょう、と言いたいだけです。
ちなみに、どれくらいの人が苦しんでいるのか気になりますよね。
本書内にこんなアンケート結果がありました。
対象は0~3歳の乳幼児を育てる母親、調査数は868名。NHKの会員サイトを通して回答してもらっています。
ある質問への回答です。
「子育てが楽しくない、ツラいと思ったことはありますか?」
一度も思ったことがないと答えたママはたったの約1割。9割のママは、育児にマイナスの感情を抱いたことがあるというのです。そして全体の2割弱ものママが、楽しくない、ツラいと思うことが「いつも」「よくある」と答えました。
NHKスペシャル取材班.ママたちが非常事態⁉最新科学で読み解くニッポンの子育て.ポプラ社,2016,p.7
どうでしょうか?
10人のママを集めたら、9人は育児が辛いと感じたことがあり、そのうちの2人くらいは常に苦しんでいるのです。
自分だけ苦しんでいるから、人に話しづらいと抱え込まないで、苦しみはどんどん吐き出しましょう!
大変なこと~夜泣き~
育児で大変なことの一つに、「夜泣きで眠れない」ということを聞きます。
しかし、実は大人が見て「目が覚めてしまった」というのと、赤ちゃんが「目が覚めた」というのは違うようです。
本書では脳波を見ながら、赤ちゃんの睡眠を調査しましたが、以下のようなことが書かれていました。
頭につけられた脳波測定のコードをひっぱり始め、そして目をぱっちりと開けました。(中略)
「脳波を見ると、まだ睡眠の最中です。乳児は眠っているのに動いたり、声を出したり、目を開けることもしばしばあるんですよ」
NHKスペシャル取材班.ママたちが非常事態⁉最新科学で読み解くニッポンの子育て.ポプラ社,2016,p.119
いかがでしょうか?やめてくれ、って思いますよね…。
声を出して目を開けて動く、起きてしまったと思ってあやそうとしますよね。
あやそうとする行動によって、寝ている赤ちゃんを起こしてしまっているんです。
これはまだまだ赤ちゃんの脳が未熟だから発生する、仕方のないことなんですね。
夜、赤ちゃんが起きたと思っても、10秒くらいは様子をみてください。
もしかしたら、実はまだ睡眠の最中で、勝手に再び寝てくれるかもしれませんよ。
大変なこと~イヤイヤ期~
育児で大変だと聞くことの一つに「イヤイヤ期」もありますね。
これも、子供たちの脳がまだ未熟だから発生してしまうことです。
まだ「我慢する」ことができない脳なんですね。ではどうするか?トレーニングが重要です。
あなたも、できなかったことは練習してできるようになったのではないでしょうか?
漢字は何度も書いて覚えませんでしたか?九九も何度も唱えて覚えませんでしたか?
それと同じで「我慢する」こともトレーニングでできるようになります。
このトレーニングで重要なのは「自主的に我慢する」ことです。
親が叱って我慢させても、脳の「我慢する」機能、つまり抑制機能は育ちません。
子供たちにルールを教えて、自分たちでそのルールを守るように根気よく付き合う、それが抑制機能を働かせるために重要なのです。
ちなみに、抑制機能が高い人ほど、人生で成功する可能性が高いようですよ。
お金をかけずに、人生で成功できるレールに乗せられるかもしれませんから、根気よく子供に付き合ってあげることは、塾などよりもいい教育になるかもしれませんね。
親になるには準備が必要
理想的な子育て環境は?
人類の歴史は数百万年続いていますよね。
その数百万年の間、現代のような生活をしているのはここ数十年のことではないでしょうか?
もともとの人類の子育て戦略は「共同養育」でした。
つまり、他人と助けあって子育てしていくのが自然だったのです。
例えば、こんな光景ですね。
・泣き出した他人の赤ちゃんに自分のおっぱいをあげる(日本でいう乳母みたいな?)
・歩ける子は子供たちだけで行動し、危険があれば近くの大人が注意する
・仕事に行く間、生後数か月の赤ちゃんを他人に(誰でもOK)預ける
こういった子育て環境が、人類の子育て環境であり、無理のない子育てなのです。
現代の環境は?
では、現代の子育て環境はどうでしょうか?
あなたは、見ず知らずの子が危険なことをしていたら注意しますか?
保育園以外で、自分の子供を他人に預けられますか?そして相手は受け入れてくれますか?
注意をするのもなかなか勇気がいりますし、特に小学生とかであれば、多少危険そうであっても見て見ぬふりをしてしまうかもしれません。
もちろん、明らかに「危険」な状況であれば助けようとするとは思いますが、「危険そう」だと悩んでしまいませんか?
本来であれば「共同保育」が自然なはずなのに、現代の子育ては「孤独」なんですよね。
さらに、30年前は子供がいる世帯が5割程度だったのに対し、現代では25%程度です。
子供がいることが当たり前ではないので、子供の行動に対して寛容でない人が増えているのかもしれません。
子育てで苦労した人たちは「私たちもそうだった」と温かく見守ってくれるかもしれませんが、
子育ての苦労を知らない人たちはどうしてそんなに子供が騒ぐのかわからないでしょうし。
これではママたちが辛くなるはずです。
ですから「孤独にならないように対策をする」、それだけでも心が軽くなりそうですね。
後述しますが、ママ友やパパの関わり方も重要になってくるでしょう。
脳から変わっていく
出産で変わる脳
赤ちゃんを産んだら、すぐに母親になれる、子供に愛着がわく、というわけではありません。
著者は出産時の気持ちを次のように書いています。
初めて目にする新生児。それがわが子だという認識はなかなか芽生えません。(中略)
赤ちゃんの上手な抱き方もわかりません。お乳のあげ方なんてもっとわかりません。
NHKスペシャル取材班.ママたちが非常事態⁉最新科学で読み解くニッポンの子育て.ポプラ社,2016,p.4
何もわからないからこそ、事前に両親教室等に行くことが大切なのですね。
その一方で、脳の中の色々な箇所が変化していきます。
例えば、赤ちゃんの泣き声に敏感になったり、赤ちゃんを守りたいと思うようになるのも、脳の変化によるものです。
だから、自分の赤ちゃんがなくと苦しい気持ちになったり、少し育児が上手くできないことで悩んでしまったりするのでしょうね。
育児で苦しくなったら「赤ちゃんのことを大切に思うように、脳が変化したんだなぁ」と客観的に考察してみたら、少しは楽になったり…しませんかね…?なるといいな、と思っています。
ママ友が欲しくなる
前述しましたが、育児は共同で行うのが自然です。
加えて、現代は良くも悪くも強制的なコミュニティが減りつつあり、孤独を感じるようになっていると思います。
特に子育てで孤立を感じているママは7割ほどになるそうですよ。
そうしたことからか、出産前はママ友を欲していなかった人でも、出産後にママ友が欲しくなるようです。
将来ママ友が欲しくなることを見越して、子連れで参加できるイベントはどのようなものがあるのか、調べておくといいかもしれませんね。
「父親=敵」とみなしてしまうかも
ママは出産で脳が変化して、赤ちゃんを守りたいと思います。
そして、24時間育児をし続けると、最初は不慣れでも徐々に上手になってきますよね。
さて、ここで普段は仕事で育児ができず練習不足のパパがお世話をしたらどうでしょうか?
変わってしまったママの脳は、パパの慣れない手つきを見て「赤ちゃんを危険にさらしている」と感じてしまうかもしれません。
他にも以前通りのパパの行動が、赤ちゃんがいる家庭にとっては危険な行動のように見えてしまうかもしれません。
こうしてママはパパに不満を抱き小言が多くなり、パパは変わってしまったママにうんざりしてしまうのでしょう。
これは脳の変化による仕方のないことなので、ママもパパも、脳が変わってしまったからか、と認識して相手を思いやる心の余裕ができたらいいですね。
男性はどうすべき?
まず、ママの脳は出産で変わりますが、パパの脳は育児経験を積むことで変わっていきます。
また、最初からうまくできないことは仕方ないでしょう、育児方法を練習してくださいね。
その上で、ママの気持ちを楽にさせるために、次の2点は意識してほしいと思います。
・授乳中は、ママが授乳に集中できるようにする(上の子がいるなら、相手をするなど)
・ママのとりとめのない会話をしっかり聞く(共感が重要!アドバイスは逆効果)
この2つの行動によって、ママはリラックスできる時間が増えると思いますよ。
細かいところまで気が回らないのは、脳の仕組み的に仕方ないことかもしれません。
育児を24時間やっているママと、働きながらやっているパパでは、育児スキルに違いがでるのも仕方ないかもしれません。
ですから、できることをやって、ケンカしやすい子育て中も、夫婦で仲良く暮らしてくださいね。
まとめ
育児は楽ではありませんね!ですがそれはあなたのせいではありません!
現代の環境が育児の大変さをさらにひどくさせているようです。
大変な育児ですが、この本が、育児はどうしたら少しでも楽にできるのか、楽に感じられるのか考えるきっかけになれば幸いです。
おまけ:本記事で紹介したもの
妊娠・出産・育児に向けた本5冊を読んでみて
赤ちゃんを産めば母性が芽生えて育児の方法もわかる、なんてことはありませんから、事前に調べておくといいでしょう。
そこでこちらの記事では、妊娠から育児期間まで、5冊の本を読んでみた感想を紹介しています。
育児で大変な思いをしている人は、こちらで紹介している「#赤ちゃん相談室」などは気晴らしになっていいかもしれませんね。
良ければぜひ、こちらの記事も読んでみてください。
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