※本記事掲載のリンクにはアフィリエイトリンクが含まれています。
組織を運営していくためにはマネジメントの知識が必須ですよね。
ですが、組織とはどのようなものでしょうか?会社だけでしょうか?
本書では高校の野球部という組織でマネジメントの知識がどのように使えるかを小説形式で書いています。
一見関係なく見える場所でも、マネジメントの知識は有効ですよ。もしかしたら家族という組織でも。
発刊当時にベストセラーとなった本書、役に立つか否か、ぜひ自分の目で確かめてください。
本の概要
2009年に発刊されベストセラーとなり、アニメ化、映画化、マンガ化された作品です。
まともに練習すらしていない高校野球部で、甲子園を目指すお話。
部員を変えるために役だったのが、主人公が読んでいたマネジメント 基本と原則 [ ピーター・ファーディナンド・ドラッカー ]です。
ちなみに、この「もしドラ」の出版社はビジネス書では有名なダイヤモンド社です。
いきなりドラッガーのマネジメントを読むのは難しいと思われるので、準備運動に最適な本ですよ。
この本から学んだこと
主人公はあなたの仲間
ドラッカーのマネジメントを過去に読んだ人は、はじめは「??」となりませんでしたか?
本書の主人公のみなみちゃんも、はじめは理解できずに苦しんでいます。2章分くらい苦しみます。
ですが、難しいことを始めるとき、仲間がいると頑張れませんでしたか?
ゆくゆくはドラッガーのマネジメントを読もうと考えたとき、一人で苦しむのではなく
「もしドラのみなみちゃんも苦しんでいたな」と思えば、少し頑張れるかもしれません。
あなたがドラッガーのマネジメントの本を学んで組織を変えたいと考えたとき、みなみちゃんは一緒に頑張る仲間に思えるでしょう。
そしてはじめの1歩を踏み出せば、そのあとに現実でも頑張る仲間と出会えるでしょう!
誰に何を提供する?
企業、組織に限らず、すべての人は誰かになにかを与えるために存在しているでしょう。
あなたという存在も、あなたが生きていてくれる、というだけで安心して過ごしていられる人がいるはずです。
あなたが生活するために買った野菜で、農家の人たちは収入を得ることができます。
では、高校野球の野球部は、誰に何を与えるために存在しているのでしょうか?何が求められているのでしょうか?
一度考えてみてください。なんだと思いますか?
本書では次のように書かれています。
顧客が野球部に求めていたものは『感動』だったのよ!
岩崎夏海.もし高校野球の女子マネージャーがドラッガーの『マネジメント』を読んだら.ダイヤモンド社, 2009, p.56
どうでしょう?納得できましたか?
私は納得できました。高校3年間という限られた時間の中で、上を目指して必死に戦う若者。甲子園の試合を見たときに『感動』したのを覚えています。
さて、ここでもう1歩深く考えてみましょう。あなたの顧客は誰でしょうか?何を求められているのでしょうか?
私は、会社員であれば会社は顧客の一人だと考えます。会社はあなたの労働力・人間力・知力などを求めていますよね。
一方で、あなた自身もまた、会社の顧客でしょう。あなたは会社に給料・福利厚生・事業として提供するサービスを求めていますよね。
そう考えれば、あなたと会社は対等な関係であり、もしも求められるものと提供できるものが違うのであれば、
転職をして、あなたが提供できるものを求めている会社に行くのもいいですね。
一人でやらなくていい
あなたにも苦手なこと、できないことはありますよね?それでいいんです。
できないことは、できる人の力を借りましょう。
ドラッカーも以下のように言っています。
人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである。
P.F.ドラッカー. マネジメント.ダイヤモンド社, 2001, p.80
例えば入部直後の主人公は、野球部員と会話ができず、彼らの本音を聞き出せませんでした。
そこで以前から野球部のマネージャーをしていた、幼馴染の力を借ります。彼女に本音を聞き出してもらったのです。
他にも、監督は東大で野球をやっていた経歴を持ち、知識は十分にあります。しかし監督の言葉は専門的すぎて、部員に伝わりません。
そこで最も頭のいい部員が、監督の言葉をかみ砕いて部員に伝えるようにしました。
一人で頑張る必要はありません。周りの人の強みを借りましょう。
ただし、相手を部門のリーダーなどにしたのであれば、相手の専門領域の決定に反対するのはやめましょう。
トップマネジメントのメンバーは、自らの担当以外の分野において意思決定を行ってはならない
P.F.ドラッカー. マネジメント.ダイヤモンド社, 2001, p.228
そして、失敗してもリーダーを責めるのはやめましょう。
エジソンも電球を発明するまで失敗しています。
この本あるように、有名企業もみんな失敗していますが、その後、成功している企業も多々あります。
そしてドラッカーも言っています。
優れているほど多くのまちがいをおかす。優れているほど新しいことを試みる。
P.F.ドラッカー. マネジメント.ダイヤモンド社, 2001, p.145-146
相手の強みを見つけて、任せるのであればしっかりと任せきりましょう!
他人を信頼するのは怖いかもしれませんが、組織で仕事をする場合には必要なことでしょう。
もちろん、無理に頑張る必要はないと思いますよ。
他人と協業して大きな組織で動くか、自分ひとりで小さくやるか、それはあなた次第です。
あなたが生きやすい方法を考えてくださいね。
あなたから歩み寄る
「信頼できるなら、これを任せる」など、相手への希望が先に来ることはありませんか?
ですが、他人を動かしたいのであれば、まずはあなたが相手を理解して信じることが先でしょう。
本書でも、ピッチャーと仲の悪かった監督は、ピッチャーの気持ちを知ろうと歩み寄りました。
他にも、高校の問題児を野球部の女子マネージャーとして迎え入れ、役割を与えました。
自分を嫌っている相手に歩み寄ること、不真面目な他人を組織に引き入れること、どちらも簡単にできることではありませんよね。
だからこそ、そういった行動をしてくれたあなたを信頼してくれるのではないでしょうか。
もちろん、信じて裏切られる場合もあるでしょう。
ですから、どこまで歩み寄るか、信頼するかは、あなたのリスク許容度の範疇内にしてくださいね。
新しいことを始めるタイミング
組織や相手のためになる提案をしても、相手の準備ができていなければ受け入れてもらえません。
例えば「英語は大切だ」と聞き、勉強を始めても途中で挫折してしまうことがありませんか?
それはあなたの中で「英語を勉強する必要がある」という心の準備ができていないからでしょう。
仮に、今あなたはアメリカにいると考えてみてください。
テレビから流れる言葉は英語ですし、買い物でもレストランでも英語が必要です。
このような環境で日本と同じように過ごしたいという欲求があれば、英語を学び始めるでしょう。
何か新しいことを始めるとき(成長)には、心の中にそれを改善したいという欲求が必要なのです。
ドラッカーも次のように言っていますよ。
成長には準備が必要である。いつ機会が訪れるかは予測できない。準備しておかなければならない。
P.F.ドラッカー. マネジメント.ダイヤモンド社, 2001, p.262
適切なタイミングで新しいことを適切な方法で始めれば、自発的に成長させることもできるでしょう。
本書の部活をさぼっていた野球部員が、自発的に練習に取り組むようになるように、ね。
全ては成果に繋げるため
「努力を認めてほしい」「努力は認められるべきだ」という考えもあるでしょう。
失敗しても「これだけ頑張ったんだから、仕方ない」と声をかけてもらえれば、救われる気持ちになりますよね。
頑張っている人を見たら、成果が出ていなくても「すごい」「よく頑張っている」と褒めたくなりますよね。
ですがマネージャーとしては、努力を認めるのはNG行動だと、ドラッカーは言っています。
組織構造は、組織のなかの人間や組織単位の関心を、努力ではなく成果に向けさせなければならない。成果こそ、すべての活動の目的である。
P.F.ドラッカー. マネジメント.ダイヤモンド社, 2001, p.200
さて、この発言に対して、あなたはどう思いましたか?
私は「バランスが重要」だと思いました。
成果を求めすぎるあまり、不正をするような組織になってはいけません。それは大前提でしょう。
そのうえで、努力に満足するのではなく、成果を求めよう、と言っているのだと思います。
つまり、成果を求めすぎるあまり、不正に走りそうな人がいる場合は、倫理観を高めるところがスタートでしょうね。
まとめ
ドラッカーのマネジメントは、この「もしドラ」に比べて字が小さく、行間も詰まっています。
引用部分からもわかりますように、小説のように読みやすい書籍ではないでしょう。
ですから、マネジメントを学ぶ最初のステップとして、ぜひ本書を読んでみてくださいね。
組織をマネジメントするだけでなく、自分自身をマネジメントしたり、家庭をマネジメントするのにも役立つと思いますよ。
コメント