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※本記事は投資を薦めるものではありません。投資を行う場合は、ご自身の責任の範疇内で、ご自身の判断で行ってください。
終身雇用が難しそうな現代、今勤めている会社からの転職を考えていたり、入社時点で転職を考えている人もいるのではないでしょうか?
そんなとき、次に行く会社は今の会社よりいい会社なのか、レベルアップに繋がるのか、気になりますよね。
本書には、その会社で勤める社員たちの生の声が集まったクチコミを分析しテーマごとに、
(例えば「20代で成長できる」や「ワークライフバランスが優良」など)
ランキング形式で紹介してくれますよ。
加えて、一部の指標は株価にも影響を与えるとか。投資家も勉強になる情報かもしれません。
クチコミをもとに会社の実態を知りたい人は、ぜひ一度手に取ってみてください。
クチコミの活用方法を教えてくれる本ですよ。
概要
本書は2023年1月に東洋経済新報社から出版されました。
著者は2023年12月(本記事執筆時点)でオープンワーク株式会社の代表取締役社長である大澤陽樹(おおさわ はるき)さんです。
オープンワーク株式会社といえば、会社社員のクチコミが見られる就職・転職サイトとして有名なOpenWorkの開発・運営をしている会社ですね。
OpenWorkは、現在6万社、1300万件を超えるクチコミが集まっており、500万人を超えるユーザーが利用しているプラットフォームとなっています。
それだけ大きなデータが集まっていることから、学術面でも有益なデータソースとして認められているようですよ。
本書ではクチコミの活用方法を教えてくれます。
この本を読んで学んだこと
「いい会社」は存在するの?
あなたは「いい会社」と聞いて、どんな会社を想像しますか?
給料が良くて、ワークライフバランスが良くて、成長もできて、社員が仲良くて…
色々な条件があるでしょうが、本当にそんな会社は存在するのでしょうか?
本書によると、総合的にいい評価をもらっている会社は国内に10社程度しかないようです。
多くの会社は、どこかの項目が飛びぬけて高い評価をもらっているのですね。
例えば「20代成長環境」がとてもいい!など。
しかし、成長できる環境ではやはり業務負荷が高くなりやすいのか「ワークライフバランス」は下がりやすいようですね。
国内にあるトップ10社の会社に入社できる実力があり、会社の所在地もあなたにとっていいのであれば、何も考えずに欲張ってみてもいいのかもしれません。
残念ながら、私を含め、多くの人はそうではないでしょう。
ですから、あなたにとって最も大切な項目は何なのか、まずは自己分析が重要となりますね。
その上で本書を読み、クチコミの見方を知れば、あなたにとっての「いい会社」を見つけられる可能性は上がるでしょう。
口コミは信頼できる?
賢いあなたならお気づきかもしれませんが、クチコミは1人の主観的な情報でしかありません。
例えば「成長したい」と思って入った会社が「ワークライフバランス重視」で、ぬるま湯のような環境であれば、その人にとっては「悪い会社」になるでしょう。
一方で「ワークライフバランス」を求めて入った人にはとても「いい会社」になるでしょう。
ですからクチコミはあくまでも「会社を知るための一つの参考情報」と考えてくださいね。
それを踏まえた上で、OpenWorkは項目ごとに信頼性のあるスコアを出しています。
どうして「信頼性がある」と言えるのでしょうか?
詳細は本書82ページからのコラムで書かれていますが、いくつか抜き出すと次のような対策があります。
・クチコミを投稿する人は、1年以上働いた人で、500文字以上の投稿をしなければならない
短期間の勤務では見えてこない部分もありますし、500文字も書くとなると、しっかりと会社の事を知っていないと難しそうですよね。
そこでまずある程度の品質が確保されるのでしょう。
・掲載までに「機械審査」と「目視審査」を行っており、掲載後もユーザーが不適切投稿を報告できるようになっている
いたずら回答や攻撃性の高い回答、プライバシーの侵害にあたるようなクチコミはここで除かれます。
また、LGBTQなどクチコミ審査後に新しく出てくる概念もあるでしょう。
クチコミ審査のガイドラインは適宜見直され、加えてユーザーからも報告を受ける体制とすることで、クチコミの審査基準を保っています。
・スコア算出のアルゴリズムに「最新性」「回答者数」などを含めている
OpenWorkのデータから、大企業であっても3年経てば大きく環境は変わっていることがわかりました。
ですから、スコア算出の際には新しいデータの方が影響が大きくなるようになっています。
また、クチコミの数が少なければ、平均などで計算すれば一つのクチコミがスコアに与える影響が大きくなりすぎてしまいますね。
例えば、5点を付けた人が1人、次に1点を付けた人がいれば、スコアはいきなり5点→3点になってしまうかもしれません。
こうならないように、回答者数が少ない間はスコア変動も小さくなるアルゴリズムになっているそうですよ。
こういった対策から、研究にも使われるような信頼できるデータとなっているのですね。
投資にも役立つ?
OpenWorkのデータは、次の論文で企業業績と関係があると述べられていますよ。
西家宏典・長尾智晴「従業員口コミを用いた働きがいと働きやすさの企業業績との関係」『ジャフィー・ジャーナル』19巻、一般社団法人 日本金融・証券計量・工学学会、2021年
そして、簡単に内容をまとめると次の図のようになります。
なお、ここでの「働きがい」はOpenWorkに投稿された「働きがい・成長」、「働きやすさ」は「ワークライフバランス」「女性の働きやすさ」に関する定性クチコミをAIによってスコア化しているようです。
論文は公開されているようですので、興味のある方はぜひあなた自身で読んでみてくださいね。
この結果から、「働きがい」や「働きやすさ」のスコアのいい企業の株を買うと、1年後には株価が上昇しているかもしれませんね。
※投資を薦めるものではありません。投資を行う場合は、ご自身の責任の範疇内で、ご自身の判断で行ってください。
目次が役に立つ
本書は全体評価が高い企業以外にも、「社風」「年代別」「職種別」「ワークライフバランス」「企業形態別」に評価が高い企業をランキング形式で紹介してくれています。
そして、それらの優良企業に共通するクチコミ内容、残念な企業に共通するクチコミ内容についても紹介してくれています。
あなたが重視する価値観に沿った会社にはどのようなクチコミが集まりやすいのかを調べて、ぜひ就職・転職する際の情報としてくださいね。
まとめ
今回は企業のクチコミからあなたにとっての「いい会社」を見つけるために手助けをしてくれる本を紹介しました。
万人にとって「いい会社」はほとんどないようですから、あなたの価値観に沿った、あなたにとっての「いい会社」を見つけてくださいね。
また、企業風土は今後の企業業績にも影響してきますから、企業の発展性を見るためにも有効でしょう。
企業のクチコミサイトが投資家にも有益、というのは少々驚きでした。
就職・転職希望者にはもちろん、投資家にもオススメできる1冊となっているでしょう。
こちらもオススメ
価値観の合う会社を見つけるためにオススメの本
本書でも「万人に受け入れられる会社はほとんどない」ことを紹介しました。
こちらは、著者が価値観ごとに企業をまとめてくれている本です。
総ページは850ページ、厚さにして約5cm、重さは1kgという、なんとも読み応えのある本となっていますよ。
本書では物足りなかった方にオススメできる本です。
失敗しない転職活動を教えてくれる本
合計6回、そのうち4回は社長やCEOとして転職をした著者が教える、キャリアアップのための転職術です。
ですが、キャリアアップ以外にも、転職先で失敗しないために注意しておく一般的なことも教えてくれますよ。
実際に転職先を決める前に一読しておくことをオススメしたい本です。
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