現在1歳の双子を育てています。
子育てで思うのは「子供には幸せになってもらいたい」「お金で苦労しないでほしい」ということではないでしょうか?
世の中には「こうやったらすごい子が育った」という本はいくつも出ていますよね。
ですが、たまたまその子に合っていただけで、他の子の場合は逆の結果になったかもしれません。
今回紹介する本は、学術的に信頼できる論文等を参考に、どういう子育てがいいのか、ということを教えてくれます。
これを読めば、お金をかけなくてもいい子育てをする方法が見つかりますよ。
著者の紹介
本書は2024年12月にダイヤモンド社から出版されました。
著者の中室牧子(なかむろ・まきこ)さんは、慶應義塾大学総合政策学部の教授です。
アメリカ、ニューヨーク市のコロンビア大学大学院で教育経済学のMPA、Ph.D.も取得されているそうです。
今回の本以外にも何冊か本を書かれており、YouTube等にも出ています。
参考までに1つ動画を貼っておきますね。他にも何本も出演されていますよ。
まずはYouTube動画を見て、興味を持ったら本書を読んでみる、でもいいかもしれません。
私はそうして本書と出会いました。
本書で心に残った部分
学歴以上に大切なこと
「子供の教育」と聞くと、どうしても最終学歴、すなわち大学に行ったか、どの大学か、というところに焦点が当たりませんか?
しかし実際に社会で重視される部分はそこではありません。本書では次のように書かれています。
実際に、企業が新卒採用で重視することの上位3つは、学生の「コミュニケーション能力」「主体性」「チャレンジ精神」だそうです。結婚相手に求めることの上位3つは、男女ともに、「人柄」「家事・育児に対する能力や姿勢」「仕事への理解と協力」だそうです。
中村牧子,科学的根拠で子育て,ダイヤモンド社,2024,p.5
そのため、本書では優秀な学歴を得るために必要な子育て方法を教えてくれるわけではありません。
もっと長期的な視点で、将来の収入を増やすためにはどうしたらいいか、ということを教えてくれます。
高い収入を得られる能力がある方が、仕事が選べますし、経済的にも自立できていいですよね。
子供の頃にしておくと良い3つのこと
第1章と第2章では、将来の収入を上げるために何をするべきか、ということを示しています。
それは「スポーツをする」「リーダーになる」「非認知能力を高める」ことです。
エビデンスはこちらの本に説明を譲り、私の経験を話しますね。
スポーツをする
私もずっとスポーツをしてきて、フルマラソンも完走したことがあります。
わざわざフルマラソンに挑まなくてもいいですし、途中で諦めてもいいんですよね。
足も痛いし、苦しいし、翌日の筋肉痛も辛いです。
ですが、辛いとわかっていても挑める精神力、自分の弱さに負けない強さ、本気でスポーツに取り組めばそういったものが得られます。
実際仕事で苦しんだとしても、どうやって切り抜けるか、と常に前向きな気持ちで取り組めていますね。
エビデンスもありますし、個人的な経験からも、子供にスポーツをさせたいと思いました。
わざわざスポーツクラブに入れなくても、一緒に走るなど、お金をかけずにやる方法もありそうですよね。
リーダーになる
会社で仕事をしていると、初めは指示される立場ですが、徐々に指示する立場に変わっていきますよね。
でも、人への指示だしは難しいと感じませんか?
最近はハラスメントも厳しいですし、悪意がなかったとしても許してもらえません。
高い立場になってしまうと、周囲の人は指摘できなくなりますから、少しの失敗が大きな痛手になりそうですよね。
本書では生徒会の会長や部活動のキャプテンを「リーダー」と言っていますが、なれる人数は少ないですよね。
個人的には家族旅行の計画を子供にしてもらう、休日の過ごし方を決めてもらう、などでもいい経験になるのではないかな?と思っています。
非認知能力を高める
非認知能力とは、学力テストやIQテストで計測することのできない能力です。
例えば「忍耐力」「自制心」「やり抜く力」「好奇心」「責任感」「社会性」などです。
音楽や美術、学校生活、前述したスポーツやリーダー活動は非認知能力を高めるようですね。
ただし、様々なものを一括りにして呼んでいますのが、もちろん一つ一つ高める方法は異なります。
例えば「やり抜く力」は努力を誉めることで高められると実験結果からわかりました。
これはこの方法で子供たちが努力すればできるようになる、という「成長マインドセット」を持ったからでしょう。
信頼できるエビデンスとは?
本書は信頼できる論文をもとに構成されていますが、そもそも「信頼できる論文とは何か」という点も深く説明してくれています。
有名な論文誌=信頼できる、ではありません。実際にこんなことが書かれています。
もっとも権威ある学術雑誌の1つである『ネイチャー』に掲載された有名な論文は、70%以上の研究者が、過去の実験を再現することに失敗した経験があることを明らかにしました。それどころか、自分自身で行なった実験の再現にすら失敗したケースもあるというのです。
中村牧子,科学的根拠で子育て,ダイヤモンド社,2024,p.270
科学の信頼性についてより詳しく知りたい方は、こちらの本を読むといいでしょう。
他にも、小規模の集団ではうまくいっても、より広く普及させようとする(=スケールアップ)とうまくいかないこともよくあるそうです。
また、同じようにやっても、やる人が変わると効果がなくなる、ということもあるようですよ。
海外のデータは日本には当てはまらない場合もあるそうです。
何を信じたらいいか難しい話になりそうですが、それをまとめてくれているのがEBPM(Evidence Based Policy Making)のようですね。
日本版のものもあるようなので、エビデンスに基づいて判断したい人は、定期的に調べてみるといいかもしれません。
その他のトピック
・母親は、特に幼少期は子供と一緒に過ごす方がいい
・同じ環境に置かれても、男女で差が生じる。男性には効果がなくても、女性には効果がある、など。だから別学と共学、いい点と悪い点がそれぞれにある。
・勉強を続けるには「目標を本人が立て」、「行動を習慣化し」、さらに「一緒にやる仲間がいる」といい。
・相対順位が良いとプラスの影響を受ける(鶏口となるも牛後となる勿れ)
・早生まれは不利
など、他にもいろいろと興味深い話がありました。
ですが、簡単に取り入れられるものではなかったり、我が家の子育てに取り入れられるものではなかったので、今回は割愛しました。
まとめ
子育てにはお金がかかりますよね。
いい教育をしよう、とするとさらにお金がかかって大変…と思いますが、実際にお金をかけなくてもいい子育てはできます!
それをエビデンスを示して紹介してくれたのが、今回紹介した本です。
自分の楽しみのためにお金を使いつつ、子供にも最高の環境を与えてあげましょう!
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