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他人に優しくしても利用されるだから、もう優しくなんてしたくない!
ちょっと待って、利用される優しさと成功する優しさがあるから、それを学んでみない?
「情けは人の為ならず」というのは昔から言われる言葉ですよね。
それを信じて他人に優しくしているのにも関わらず、他人から利用されて苦しんだことはありませんか?
それがあまりに辛くて、他人に優しくすることをやめてしまう…。
ですが、それはとってももったいないことです!他人に与える人の方が大成功しますから!
本書で、成功する与え方と失敗する与え方について学びませんか?
本の概要
本書は2014年に三笠書房から発売された本で、TEDやニューズウィーク日本版でも紹介されています。
著者のアダム・グラントさんはペンシルベニア大学ウォートン校で、同大学史上最年少の終身教授となられた組織心理学者です。
本書は世界中で読まれており、24カ国語以上で翻訳されているそうです。
参考文献、脚注、アクションのための提言は本書内にはなく、三笠書房さんのHPからダウンロードする形式となっていますね。
参考文献数が多く、様々な研究に基づいた信頼できる本であることもわかりました。
382ページとボリュームがありますが、内容は具体例が多く読みやすいものでしたよ。
本書のまとめ
3つのタイプ
本書では、人間は以下の3つのタイプを使い分けて生きているとしています。
・ギバー:他者を思いやり、惜しみなく与える
・テイカー:自分の利益のためだけに行動する
・マッチャー:もらったら返す、与えたらもらうで、貸し借りのバランスを取る
成功者となるのはギバーですが、同時に他人から搾取されやすいとも書かれています。
その差がどこにあるのか、搾取される状態から成功する状態に変わるにはどうしたらいいのか、本書から学んでいきましょう。
各章の内容を一言でまとめると
本書は全9章からなる本で、各章のテーマを一言でまとめていました。
第5章(PART5)まではギバーがどのように成功するかを書いています。
PART1:ギバーの成功はどのようにもたらされるのか?
PART2:ギバーが作るゆるい繋がりが成功に繋がる理由
PART3:ギバーがチームワークを求められる仕事で成功する理由
PART4:ギバーが他者の能力を上げる、教育者としても成功する理由
PART5:ギバーであれば、弱みは強みになる
続く2章分では、搾取されないギバーとなる方法をまとめています。
PART6:成功するギバーの仕事のやり方
PART7:苦労人となるギバーの特徴と回避方法
最後の2章分では、テイカーがギバーになる可能性について言及しています。
PART8:テイカーがギバーとしてふるまうとき
PART9:ギバーがテイカーとなり、テイカーがギバーとなるとき
読み始める前の疑問点と回答
本書を紹介するYouTube動画を見たことがあったので、大まかな内容は把握していましたが、気になる点が2つありました。
はじめはその回答のために読み始めましたが、もっと深く知ることができ、読んでよかったと思えました。
このブログで興味を持ったら、ぜひご自身でも読んでみてくださいね。
Q1. ギバー、テイカー、マッチャーの性格は、相手によって変わるの?
変わります。
友人と話すときはギバーの人も、仕事の同僚と話すときはマッチャーかテイカーとなることが多いようです。
Q2. このタイプは先天的なもの?後天的なもの?
この3つのタイプは本人の価値観に左右されるものであり、途中で変わる可能性があります。
今はギバーだった友人がテイカーになったり、テイカーだった同僚がギバーになることもある、ということですね。
ギバーが成功する理由
ギバーが成功する秘訣は「周囲の人が積極的に助けてくれるようになるから」でしょう。
ギバーの人はギバーを助けますが、マッチャーの人も恩返しをするためにギバーを助けます。
今まで関わってきた多くの人が、ギバーの人が困っていると手を差し伸べてくれるのですね。
加えて、ギバーが成功しても周囲から非難されることはありません。周りの人は味方ですからね。
テイカーやマッチャーであれば周囲から妬まれるので、やはり成功するならギバーとして成功するのがいいでしょう。
ギバーが失敗する理由
ギバーが失敗する理由は、大きく2つに分かれると感じました。
1つは、自己犠牲型であること。自分が辛くても、周囲を頼らず与えすぎてしまうのですね。
この場合は目の前の人ではなく、また別の誰かのために(後述)と考えてはいかがでしょうか?
もう1つは、テイカーの人に与え続けること、です。
テイカーの人は、マッチャーと違ってお返しをしてくれることがありません。
際限なく要求し、自分の利益にならないと思ったら捨てる、そんな行動をとる人に与え続けたら、自分が疲弊してしまいますよね。
テイカーと関係を持たなければいけないときは、マッチャーとなることを意識しましょう。
ギバーは甘いわけではない!
成功するギバーは相手を思いやり、優しく与えてくれる人ですが、イエスマンではありません。
本書でギバーとして紹介されているジョージ・マイヤー氏は、同僚から感じのいい人とは言えない、と言われています。
しかし、皆がマイヤー氏の意見を尊重し、助けようと手を差し伸べてくれます。
その理由は、マイヤー氏の仕事の進め方でしょう。
マイヤー氏はある番組の脚本を書く仕事をしていますが、その脚本が面白くないと思えば、容赦なく修正を求めます。
ただし修正を伝えるときは、相手の気持ちに寄り添います。
番組を面白くするために妥協はしませんが、相手のことも大切にしていることが伝わる方法です。
その結果、一緒に仕事をする人はマイヤー氏の指示を尊重し、手助けをしようとしてくれるのですね。
成功するギバーとなる方法
成功するギバーとなるために重要なのは「自分を大切にし、他人も大切にする」ことです。
ここでいう自分を大切にするとは、働く時間を減らすとか、自分のためにお金を使う、というだけではありません。
例えば「自分の成果を見えるようにする」「与える時間を自分でコントロールする」という方法もあります。
あなたがやった行動に対して「ありがとう」や「これだけ助かったよ」と言ってもらえたら、もっと頑張ろうという気持ちになりませんか?
あなたが忙しい時は仕事に集中できて、余裕のある時間だけ人助けができたら、気分は楽ではありませんか?
重要なのは、世間でどういわれているかではなくて、あなたの価値観において「あなたを大切にする」方法はどういうものなのかに重きをおけばいいんです。
なぜテイカーとなるのか
恐れが人をテイカーにする
人は他人を助けると喜びを感じる生き物です。ですが、人に優しくしている人は少ないイメージがありませんか?
しかし優しい人は損をする気がしますよね。本書でも、ギバーと知られることが嫌で、名前を伏せているひともいます。
人がテイカーとなるのは、利用されて搾取されることが怖いからでしょう。
実際、本書でもギバーとして紹介されている人は、短期的には大きく損をしたり、テイカーから搾取されています。
例えばこう考えてみてください。
あなたが1億円持っていたとき、ひもじそうな子供に1000円くらいの食事を与えることは、そこまで難しいことではないでしょう。
しかし、あなたの全財産が1000円だったとき、その子供に気軽に500円でも食事を与えてあげられますか?
さすがに厳しいのではないでしょうか?
ギバーとして行動するには、損をしても大丈夫、搾取しても大丈夫、と思える余裕が必要だと思います。
ギバーでいるために余裕を持とう
あなたは時間に余裕がありますか?お金に余裕がありますか?
日本の報道を見ていると、余裕がなさそうな印象を受けて心配です。
でも、パーキンソンの法則を考えると、もしかしたら考え方だけで余裕は持てるのかもしれません。
今、あなたが大変なときは無理をしないで、余裕を作ることに専念してみてください。
そしてあなたが無理のない範囲で誰かに優しくして、ギバーとして成功を目指してくださいね。
テイカーをギバーにする方法
思いやりのある世界を作るための敵はテイカーだということがわかりました。
では、テイカーをギバーにすることはできるのでしょうか?
本質的にテイカーがギバーになるかどうかは、本人の価値観の問題のため、他人にはかえられないでしょう。
しかし、テイカーにギバーのような振る舞いをさせる方法が2つあります。それは次の2つの環境です。
ギバーばかりの世界にいる、もしくは他人から見える場所で行動している。
人は結局周りの人の影響を少なからず受けるので、周りの人がギバーなら少しギバーの行動をし始めます。
また、他の人から見られているときにテイカーの行動は良くないとわかっているので、ギバーの行動をします。
こうしたギバーの行動をしているときに、価値観を変えるような出来事が起これば、テイカーもギバーに変わりそうですね。
ちなみに、テイカーばかりの場所ではギバーもテイカーかマッチャーに変わっていきます。
もしあなたがギバーとして成功したいのであれば、そのような環境からは早めに逃げるのが重要でしょうね。
注意すべきバイアス
人の認識下にある様々なバイアスを通して自分の行動を決めたり、自分自身を評価していたりします。
あなたが自分の事をギバーやマッチャーだと思っていても、他人からしたらテイカー、なんてこともあるかもしれません。
ここでは、認識下で働くバイアスをいくつか紹介します。
責任のバイアス
一言でいえば「自分がやったことは多く、他人がしてくれたことは少なく感じる」というものです。
よく聞く例に、旦那さんは家事をしているつもりなのに、奥さんから「全然家事をしてくれない」と言われる、というものがあります。
このバイアスに気づかないまま、貸し借り0のマッチャーでいようとすれば、他人からはテイカーと評価されるでしょう。
対策方法としては「相手が何をしてくれたかをリストアップしてから、自分のしたことに注意を向ける」です。
無意識のうちにテイカーの行動をとっていないか、このバイアスに支配されていないか、一度気にかけてみてください。
視点のズレ
このバイアスを一言でいえば「自分が今経験していることは過大に、経験していないことや過去のことは過小評価する」でしょう。
例えば、あなたが今お金がなくて困っていたら、お金がない人の苦しみはよくわかるのではないでしょうか?
とはいえ「お金がない」と言っても、明日何を食べたらいいかわからないという状況の人と、老後のお金が心配、という人では感じている辛さは全く違うと思いますが。
もしかしたら「自分も昔は辛かったから、その気持ちはわかる」という人もいるかもしれません。
しかし「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という言葉があるように、実験でも過去の出来事は過小評価されることがわかっています。
このバイアスに対応するためには「自分ではなく相手の見方をする」ことと、「わかることはない」と理解することが重要と思います。
そのためには相手の言葉に真摯に耳を傾け、相手の言葉を尊重することが大切かな、と思いました。
自家成就予言
このバイアスは、一言でいえば「他人の期待に応えようと自分を変える」ことでしょう。
つまり、親や周囲の人から「頭が良くなるね」と言われた子供は、頭が良くなるように努力する、ということです。
逆にそのような言葉をかけてもらえない子供はどうなるのでしょうか?「頭が悪い」と言われ続けた子供はどうなるのでしょうか?
部下を育てようとするとき、子育てするときに、こういった言葉のかけ方は重要でしょうね。
そして、あなたが変わりたいと思うのであれば、それを肯定してくれる人たちと付き合うことがいいかもしれません。
宣言すると逆効果
目標などは、人に宣言するといいと聞きますよね。
しかし今回は逆で、「自分はいい人です」と主張すると、相手に与える行動が無意識のうちに減るそうです。
それは「いいことをしている自分はもっと貰ってもいいはずだ」と思うからではないか、という趣旨のことが本書に書かれています。
この結果からは、「自分たちはいいことをしています」と主張している組織は、実はギバーが少ない可能性がありそうですね。
「他人のために」と考える
ギバーは他人を尊重しすぎるあまり、自己犠牲型になってしまうことも多いそうです。
しかし、その自己犠牲型のギバーは他人から搾取され、苦しむことになります。
対策として「別の誰かのために」と具体的に考えてみてはいかがでしょうか?
例えば、給料UPの交渉をするとき、あなた自身のためと考えたら交渉は難しいかもしれません。
しかし給料UP分をどこかに寄付しよう、と考えたら?
もしくは、あなたの給料が上がることで、後輩たちの給料も自然と上がっていくのであればどうでしょうか?
寄付先の人たちのため、後輩たちのためなら、会社に無理のない範囲で給料の値上げを交渉することができると思いませんか?
パーキンソンの法則
一言でいえば「仕事やお金(支出)はあなたの余裕がなくなるまで増え続ける」ということでしょう。
例えば、仕事が暇なときは同僚と意味のない会話をしてその日の時間いっぱいまで使い、締め切りが迫ってきたりすると余裕がなくなることはありませんか?
このとき、会話の時間を減らせば、後々の仕事が楽に進んだにも関わらず、です。
他にも、仕事に余裕があると「新しいことを始めてみよう」とやることを増やしませんか?
お金に余裕があると、少しほしい物でも買ってしまいませんか?
逆に言えば、あなたが上限を決めれば、仕事の量も支出も、それ以上にはならない可能性がある、ということです。
1日2時間の残業が癖になっているのであれば「8時間で終わらせる」と強く考えて行動してみてはいかがでしょうか?
参考図書として、欠乏の行動経済学について書かれた本を最後に載せておきますね。
本書を飛び出して(感想+α)
ギバーの精神が学べる部活動
個人的な意見ですが、ギバーの精神が学べる場所の1案として、部活動に取り組むのはどうでしょうか?
特に、生徒が自主的に活動するもので、何か部全体の目標があるものがいいと思います。
自主的に活動する場合、教えてくれる人は今までの経験者しかいません。
ですから、部活動は経験者がギバーでなければ成り立ちづらい仕組みになっていると考えました。
加えて部全体の目標があれば、消極的な活動をするわけにはいきません。
そうして、ギバーである経験者が新人に教え、その新人がギバーとして次の新人に教える、それが日本の部活動で学べる「恩送り」の精神だと思いました。
日本人に馴染みのギバー
本書に出てくるギバーは皆日本人にはなじみがない方だったので、日本人でギバーだと思われるひとを紹介します。
稲盛 和夫(いなもり かずお)氏
あなたはお名前を聞いたことがありますか?稲盛和夫さんは、京セラや現KDDIの創業者です。
「生き方」に稲盛和夫さんの人生や、大切にされていた価値観が書かれています。
彼はただ「みんなが幸せになるには」と考えて行動し、結果として幸せに多くの成功を成し遂げた人です。
竈門 炭治郎(かまど たんじろう)
漫画やアニメで人気の「鬼滅の刃」の主人公です。
自己犠牲型のギバーのように感じられますが、彼もギバーの一人でしょう。
作品の中でも、ただひたすらにまっすぐな彼には多くの仲間が引き寄せられていきます。
三雲 修(みくも おさむ)
私が大好きな漫画・アニメ「ワールドトリガー」の主人公の一人です。
彼は「自分を大切に&他人を大切に」するタイプのギバーでしょう。
彼に助けられた人たちが、徐々に彼を助けてくれるようになります。
目標にしたいギバーの在り方ですね。
日本はギバーが多い?
日本にはおもてなしの文化がありますね。それは紛れもなくギバーの行動かな、と思います。
しかし、おもてなしを要求し始めたら、それはテイカーの行動ですよね。
こちらでも述べましたが、テイカーが多い場所ではギバーもマッチャーかテイカーになります。
ですが、成功するのは「自分も他人も大切にするギバー」です。
テイカーが増えてきているような気もしますが、成功するギバーを目指してもらえたら嬉しいな、と思います。
すぐにできる「与える」行動
ギバーとして行動すると、搾取されるのが怖いですよね。
それであれば搾取されにくい、例えば以下のような与え方はどうでしょうか?
・相手が何かしてくれたら「ありがとう」という
言葉を与えるだけなら何か奪われることもないでしょうから、ぜひ感謝の気持ちを表に出してみてはどうでしょうか?
・よかったお店の口コミをGoogle mapに書きこむ
最近は口コミが重要になっていますから、あなたの口コミがそのお店の集客に繋がり、お店の売り上げに貢献できるかもしれませんよ。
・よかったお店では、カードではなく現金で支払う
カードの場合、お店が手数料を支払っているため、数%儲けが減ります。逆に言えば、現金であれば数%多く渡してあげることができますよ。
このような、あなたが気持ちよくできる範囲で与えてみてはどうでしょうか?
まとめ
今回は「成功に優しさは不要」というような認識がある中で、成功する優しさと苦労する優しさの在り方に目を向けた本を紹介しました。
他人を思いやって行動できるというのは、それだけですでに成功者の素質を持っています!
ぜひ、報われるギバーを目指してくださいね。
本書を読むと、きっと私とは違った気づきもあると思いますので、お時間あればぜひ手にとってみてください。
おまけ:合わせて読みたい本
いつも「時間がない」あなたに
本書は「余裕がない」状態がどれほどあなたの視野を狭め、問題を大きくするかを教えてくれます。
ギバーになるためには余裕が必要、と書きました。
余裕がない状態を、どうしたら余裕が持てる状態になるのか、ぜひ本書から学んでくださいね。
生き方
人のことを思って行動し続けた稲盛和夫さんの人生のお話です。
本人も不思議がっていましたが、ギバーになるとなぜかうまくいくようですね。
日本のギバーの人として、私は彼が真っ先に頭に思い浮かびました。
鬼滅の刃
漫画・アニメで大人気ですね。アニメはNetflixでも見られますよ。
私はアニメしか見ていませんが、アニメは絵がとてもきれいで、音楽も素晴らしいので、ぜひアニメで見てほしいです。
主人公の竈門炭治郎は、自己犠牲型のギバーだと思いますよ。
ワールドトリガー
年に1巻くらいの刊行ペースでゆっくりと続いている作品です。
キャラクターが全員しっかり考えられていて、技もしっかり考えられていて、とても面白いですよ。
主人公の三雲修が、自他ともに大切にするギバーなのも、個人的に好きな点です。
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